国防部の「北漁船」ウソ発表に韓国大統領府が介入していた可能性高まる

　韓国国防部（省に相当）が「メディア関連の対応状況を大統領府（青瓦台）へ報告し、ガイドライン（PG）を作成する」という内容の内部訓令を作っていたことが21日までに分かった。国防部をめぐっては一時、「メディア対応すらいちいち大統領府の指示に従う」という疑惑が持たれていたが、国防部は「必要に応じて協議する」と答えていた。

　本紙が21日に入手した「国防戦略的疎通（SC）訓令」には、メディアの報道などに対応する国防部の具体的な戦略が盛り込まれている。国防部は、同訓令の「メディアの誤報・歪曲（わいきょく）・推測的報道への対応」という項目で「状況発生時、国防部SC計画に基づきBH（青瓦台）に資料を報告し、PG作成、国家安全保障会議（NSC）開催などを協議する」と記していた。韓国軍関係者は「結局のところ、逆に言えばBHは国防部のメディア対応関連の資料やPGを知っているということになる。国防部が適当にメディア対応を行い、青瓦台は関連事項を知らないというのは信じ難い」と語った。また、国防部政策室の役割の中には「青瓦台およびNSCとの情報交流および報告・建議」が明示されていた。訓令を通して組織的に大統領府と密着関係を維持している、という意味だ。

　韓国軍内外には、これまで国防部のメディア対応をめぐり「大統領府が介入した」という声がかなりあったが、実体の確認は難しかった。今回の北朝鮮漁船亡命事件でも、韓国軍が事態を小さくみせかけて発表するかのような印象を与えたことから、「大統領府が口を挟んできた」という声が上がっていたが、大統領府側は否定していた。ユン・ドハン国民疎通首席は21日、「発表文を事前に知っていたが、いちいち干渉はしなかった」と表明した。韓国軍関係者は「大統領府との協議は一方的なものではない」と述べつつも、「だが現政権になって、大統領府との協議の過程で、軍関連の事案が内部の意見とは違うものに変わるケースがある」と語った。

梁昇植（ヤン・スンシク）記者

朝鮮日報 2019/06/22 09:41 
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