衆議院総選挙が終わったが、次期内閣は“戦時内閣”となろう。

国連も日本も米国もEU(欧州連合)も、北朝鮮に対してかつてないほど強い《経済制裁》を科してきた。「窒息」は無理としても、一定のダメージは与えており、《経済封鎖》に近くなり始めた。《経済封鎖》は安全保障上も戦史上も「戦争状態」と同義だ。

しかも、後述するが、10月に入り実施された米韓合同軍事演習で、米韓両軍は対北《海上封鎖》の予行と断じて差しつかえない布陣を敷いた。《海上封鎖》に至っては、真正の軍事行動である。

ひるがえって、総選挙期間中も含め「戦時」になって久しい。少なくとも「準戦時」だったが、この国難認識を全体、いかほどの候補者が抱いていただろうか。

安全保障関連法のご破算を真顔で、声高に叫んだ候補者に国難認識はゼロ。土地取得をめぐる森友学園や獣医学部新設をめぐる加計学園の追及も候補者の自由とはいえ、「目の付け所が違う(笑)」と驚いた次第。

「モリ・カケ」問題を蕎麦のごとくたぐっていっても、安倍晋三首相との「汚い関係」はまったく出なかっのに、今後も国会で確証なき追及を繰り返すに違いあるまい。 
  

筆者も「蕎麦屋で一杯」を大の楽しみにするクチだが立ち位置は保守で、「ソバ好き候補・議員」ほど“左党”ではない。北朝鮮国民が満足に「冷麺」を食べられるよう、日本の「ソバ好き左党議員」は安倍氏にではなく、たまには左党といわれる朝鮮労働党の金正恩・委員長に箸先、否、矛先を向けたらよろしい。

朝鮮半島危機を軟着陸させられるのか、はたまた朝鮮戦争の休戦が破られるのか。どちらにしても、朝鮮半島問題に決着が付けば、次は日本列島を《台湾危機》が襲う。

「ソバ好き左党議員」に、イザという時に立ち上がる覚悟までは求めない。安全保障関連法に代わる代替法案が立案不能でもいい。唯々、夢より覚め、現実の悪夢に備え、黙っていてほしい。

米軍の作戦意図に埋め込まれた「脅し能力」

さて、現下の情勢が国難である実態の一部を説明する。

朝鮮半島に限らず、半島は東西OR南北を海で挟まれる。かくなる「半島の宿命」を、金正恩氏は理解していない。朝鮮半島の幅は最長で360キロ弱。東は日本海、西は黄海で海上・航空兵力による挟撃は凡庸な参謀でも着眼する。

攻撃側・米韓軍は挟撃の時と場所を選べるが、守備側・朝鮮人民軍に選択肢は皆無。本来、金正恩氏は国際社会に反抗して核・ミサイル開発をゴリ押しできる立場ではない。

今次合同演習も原子力空母《ロナルド・レーガン》を核とするイージス艦を含む40隻超の艦艇が、半島を挟み撃ちする形で日本海・黄海両海域に展開した。

日本海側に姿を現したロナルド・レーガンの艦上機は66機前後で、単艦の航空戦力だけでベルギーやオランダ、スイスの空軍力に匹敵し、1隻で5~6百カ所の標的を粉砕。将兵3200名+航空要員2480人=5680名の軍人を乗せて移動しながら、戦略レベルの任務を遂行する「動く海上軍事基地」なのだ。

米軍の作戦意図を注意深く分析すると、金正恩政権に投げ付けた「脅し能力」が埋め込まれていた。

例えば、「原子力特殊潜水艦」とも呼ばれる米国最大級の原潜《ミシガン》。金正恩政権を金縛りにしたシリア攻撃にも使われた巡航ミサイル・トマホークを154発も収納する。ミシガンが属するオハイオ級原潜2隻で、レーダーといった北朝鮮の全防空網を葬れる。

さらに、60名以上の特殊作戦部隊要員を収容し、金正恩政権の除去を目的とする《斬首作戦》の演練も兼ねている、と地元メディアが報じた。特殊作戦の情報が漏れたのは、米韓軍側の宣伝工作かもしれない。

軍事の素人=金正恩氏でさえ震えるに十分な能力だが、ミシガンの艦歴を知る軍首脳の驚愕はその比ではなかろう。何となれば、今でこそ通常弾頭だけだが、冷戦時代のミシガンは核弾頭24発を積み込み、核報復能力を担保した《戦略抑止哨戒》任務を担任していたのだった。 

  
優れた対地攻撃能力を有し、金正恩氏の執務室へのピンポイント(精密誘導)攻撃も視野にする《F35戦闘機》や、「死の白鳥」の異名を持つ《B1戦略爆撃機》も韓国入りした。

B1は、米戦略爆撃機の中で最大級のミサイル・爆弾発射が可能。数機で平壌を焦土化できる。合同演習前の米韓共同訓練でも、金正恩氏の執務室▽兵器工廠▽核実験場▽潜水艦基地…など、40カ所へのミサイル発射がシミュレートされた。 

一連の合同演習・共同訓練の間、米韓軍の動きに合わせ、朝鮮人民軍は各部隊を移動させ迎撃態勢を強化するが、その度に燃料・糧食が消え、将兵の不安も高まっていく。

いずれにしても、北朝鮮にとり、米軍は「悪魔」のごとき存在なのだ。

対北演習に乗じて中国近海の極秘調査をする米軍

もっとも、米国が「悪魔」に見えるのは中国も同じ。現下の朝鮮半島危機に乗じて、中国の海警局・大型武装公船や人民解放軍海軍艦艇が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を火事場泥棒的に強奪するというシナリオが、防衛省内で危惧されている。

しかし、米軍は半島危機に際して、朝鮮人民軍のみならず、中国人民解放軍にもにらみを利かせる。いや、むしろ半島危機に乗じ、人民解放軍に対する強力な情報収集を極秘に進め、封じ込め戦略を演練している。

米軍にとり、朝鮮半島危機は人民解放軍相手の格好の「模擬戦」の舞台と化している、と言い換えてもよい。

例えば、米空母打撃群を追尾する人民解放軍海軍の潜水艦を逆探知し、スクリュー音や機関音、船体の振動などで生じる音紋を採取し、潜水艦のクセや性能、艦名の特定などに役立てている。実戦モードに近い環境下、水測員の練度向上にも資する。

10月の合同演習同様、米国を中心に日米韓が春に断続的に行った共同訓練などでも、超弩級の収穫があったと観測されている。

逆に、中国人民解放軍の戦略中枢は、追尾を命じた情報収集機や情報収集艦、潜水艦などが送ってくる位置情報を地図上にプロットしてのけ反ったと確信する。

(1)フィリピン海における、米原子力空母《カール・ビンソン》を核とする空母打撃群と海上自衛隊の護衛艦《あしがら》《さみだれ》による共同訓練。

(2)日本海における、米海軍の駆逐艦《フィッツジェラルド》と海自護衛艦《ちょうかい》による共同訓練。

(3)日本海における、カール・ビンソンを核とする米空母打撃群と海自や韓国海軍との共同訓練。 

(4)沖縄本島東方の太平洋上における、カール・ビンソンの艦上機《FA18戦闘攻撃機》と航空自衛隊の《F15戦闘機》との共同訓練。 

(5)米原子力空母ロナルド・レーガンの艦上機が硫黄島(東京都)で陸上離着陸訓練。

(6)高高度迎撃ミサイル・システム(THAAD=サード)の韓国配備。 

(7)黄海における米海軍と韓国海軍の共同訓練。

人民解放軍の危機感は(7)に顕著だ。

黄海~渤海にかけての海域には▽青島=人民解放軍海軍・北海艦隊司令部▽旅順と葫芦島=軍港▽大連=海軍工廠…などが点在するのだ。

明治二十七八年戦役(日清戦争/1894~95年)や明治三十七八年戦役(日露戦争/1904~05年)では、国家存亡を賭した一大戦略拠点であった。この海域への機雷封鎖は、人民解放軍海軍の掃海能力の低さに鑑み、現代戦でも十分通用する。

朝鮮半島危機がとりわけ高まった今年、幾多の演習・訓練を通し米海軍は、海底地形や海流をこってりと測定したはずだ。

次は(6)の、在韓米軍が配備したTHAAD。発射台6基とミサイル48発などで、朝鮮人民軍の短・中距離弾道ミサイルを迎撃する。

中国はTHAADを構成するXバンドレーダーの韓国配備に強く反発した。射撃管制モードの探知距離は500キロで北朝鮮の中~南部をカバーするに過ぎぬが、捜索モードに徹すれば1000キロを超え、北京・天津の手前まで覗けてしまう。

在日米軍が青森県車力と京都府京丹後に配備するXバンドレーダーとも同型で、データリンクで連結され、互いをカバーし合える優れモノだ。

(1)のフィリピン海も、対中戦略上のチョーク・ポイント。台湾有事で来援が期待される米空母打撃群を、人民解放軍が迎撃する最前線(第2列島線)と絶対防衛線(第1列島線)にはさまれた海域だ。

第1列島線は九州南部~沖縄~台湾~フィリピン~ボルネオを結ぶ。第2列島線は伊豆諸島~小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアを結ぶ。 
 
(4)の沖縄本島東方の太平洋は第1列島線の該当海域で、沖縄本島の米軍・自衛隊基地群は列島線防衛の一大策源地でもある。 

(5)の硫黄島は第2列島線海域に所在し、島内の滑走路は海自&空自+米軍の作戦機が使用する。

最後は(2)と(3)の日本海の戦略的位置付け。

自衛隊と米軍が第1列島線の防衛=封鎖に成功すれば、人民解放軍の海上・航空戦力は対馬海峡を抜け→宗谷海峡突破を選択し→第2列島線の背後に迂回するシミュレーションも、安全保障関係者の間では浮上した。現代版「日本海海戦」への備えも怠ってはなるまい。

繰り返しになるが、人民解放軍の海上・航空戦力が宗谷海峡突破を目論む事態とは、中国の敗北を半ば意味する。裏返せば、米軍の空母打撃群&地上発進の航空戦力に海自&空自が協力→人民解放軍の海上・航空戦力による第1列島線越え阻止に成功したということ。

あとは、台湾軍が人民解放軍のミサイル攻撃や渡海強襲上陸を何とかしのげば、西進中の米軍主力は第1列島線上の台湾の救援に間に合う。

中国は2025年、米国の最大脅威となる

だが、人民解放軍の海上・航空戦力が飛躍的に拡充される近未来図は仕上げの段階に入り、米軍遠征部隊の台湾急行は次第に不確実性を増していく。米海軍大学のアンドリュー・エリクソン教授を中心とした研究グループがまとめた《中国の海軍艦艇建造》の以下の分析結果には息をのむ。

《人民解放軍海軍は2030年に主要艦艇415隻態勢を整える》

トランプ政権は過去100年間で最小規模に縮小された現有米海軍艦艇274隻の350隻増強を目指す。が、2046年が目標で、人民解放海軍の建造スピードとは雲泥の差がある。

国防予算の行方が未知数で、建艦数を抑えられてきた造船関連業界の熟練工確保や設備復旧も追いついていない。反面、人民解放軍海軍の艦艇は数に加え質の向上も著しい。《中国の海軍艦艇建造》は警告する。

2020年までに、

《米海軍の対艦巡航ミサイルの射程以上のミサイルを大量保有する》

《人民解放軍海軍は世界第2位の海軍となる》

かくして2030年までに、

《ハードウエア面で米海軍と数だけでなく、恐らくは質も肩を並べる》

《(尖閣諸島など)他国との係争近海域で、米海軍の作戦行動に果敢に対抗する大きな能力を保有する》

「中国は2025年ごろまでに、米国にとり最大脅威になる。中国は米軍が太平洋で有する影響力や同盟関係を制限する戦略に集中し、軍事技術で米軍の優位性を崩せるような現代化を目指し、当分の間、軍事支出を増大させ続ける」

「米国は人民解放軍とロシア軍の現代化に対抗し、20年代にかけての優位性を保つべく、今後5年間の国防予算を3~7%増やす必要がある」

切り札は米軍の台湾駐留

打開策はある。ジョン・ボルトン元国連大使が1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した戦略も、傾聴に値した。《米軍の台湾駐留》である。ボルトン氏は北朝鮮に断固とした姿勢で臨み、拉致被害家族の訪米時にも積極的に会い、日本の国連常任理事国入りも支持する。

ボルトン戦略を要約すると、以下のようになる。

《台湾への米軍駐留や軍事装備の輸出拡大で、米国は東アジアの軍事態勢を強化できる》

《海洋の自由を守り、一方的領土併合を防ぐ戦略は米国の核心的利益だ。台湾は地理的に沖縄やグアムに比べ、中国や中国が軍事聖域化を推し進める南シナ海に近い。米軍の迅速な戦闘配置を柔軟に後押しする。台湾との軍事協力深化は重要なステップなのだ》

東アジアや南シナ海の不穏・不透明な安全保障環境を考えれば、太平洋&東シナ海と南シナ海を結ぶ「大洋の十字路」に位置する台湾は世界最大の要衝の一つで、わが国の貿易=経済の命運を握る生命線だ。

日本列島~沖縄~台湾を結ぶ「海上の長城」上に、自衛隊や米軍に加え台湾軍が防衛線を敷けば、中国の軍事的冒険をかなり封じ込める抑止力となる。

米軍制服組トップ=統合参謀本部議長のジョセフ・ダンフォード海兵隊大将も9月、上院軍事委員会の公聴会で証言した。

フィリピンの対中・対米姿勢は不安定で、米軍のフィリピンにおけるプレゼンスも定まらない情勢では尚のことだ。

ところが、米軍の台湾駐留には1972年の《上海コミュニケ》が障害になる。コミュニケで米国は中国側に「一つの中国」「台湾からの全武力・軍事施設の最終的撤去に向け、これを漸減する」などを約した。 

けれども、ボルトン氏は中国と国交樹立=台湾と国交断絶後、米軍駐留終了と引き換えに武器売却などを担保した

《台湾関係法の下で、台湾との(軍事)関係拡大は十分可能だ。基地を設け活動する権利は、全面的防衛同盟を意味しない。相互防衛条約の再交渉など新立法措置も不要だ》と明言。国際法上の《事情変更の原則》を持ち出した。

確かに、中国が狼藉の度を凄まじい勢いで加速させ、軍事膨張をばく進する危機的情勢に直面する今、《上海コミュニケの大部分(前提)が時代遅れになり、拘束力を失った》という合法的解釈も成り立つ。

台湾は無論、わが国もまた米軍の台湾駐留支援への覚悟を決める大転機にさしかかっている。

産経新聞
http://www.sankei.com/premium/news/171023/prm1710230007-n1.html 

こう見てみると、つくづく大日本帝国を潰したアメリカは馬鹿だなと思いますね。台湾、東沙、西沙、南沙、海南島を押さえていたのですから。

2chの反応

>それは北朝鮮のせいだって知ってるのかなぁ?

> 安全保障関連法のご破算を真顔で、声高に叫んだ候補者に国難認識はゼロ。土地取得をめぐる森友学園や獣医学部新設をめぐる加計学園の追及も候補者の自由とはいえ、「目の付け所が違う(笑)」と驚いた次第。

>モリカケ蕎麦食ってた議員は実際に有事になるまでモリカケ蕎麦食べてるんだろうなあ、と
それこそまさに平和ボケ、だね

> てっか。
あいつらの、国会空転以外の戦略ってのが見えないんだよねw

>大騒ぎした割には民進党が分裂したくらいで選挙前と大差ないやん

>まず国内のスパイ予備軍を半島に放逐するところから始めないとな

>戦時内閣って日本が戦争始めるわけでもあるまいし

>アメリカが拒否権のない戦争始めるので
それに備える必要があるね

てか安倍ちゃんはそのスケジュール知らされた上で解散決意したんだろうけど

>コイケヤが下手打ったおかげで野党共闘が瓦解した影響も大きいな。総理の「引きの強さ」も恐ろしい。

>有事真っ最中で解散総選挙なんて最悪だからね。

>>対北・黄海封鎖

ついでに東シナ海と南シナ海も封鎖してしまおう

>米朝戦争が起きたら安倍ちゃん参戦しちゃうの?
前の朝鮮戦争みたいに不参加決め込めば、核ミサイル落とされる心配もないんじゃないの?
参戦しちゃうとやばくない?
相手は核保有国だぞ?

>再突入まだ出来てないから北朝鮮ぶっ殺すなら今のうち
早くぶっ殺さないと本当に核ミサイル完成しかねんから殺られる前に殺るしかない

>「いまのうちに」はアメリカの話じゃなくて?
アメリカ本土には届かないけど、日本には届くでしょ普通に
アメリカが「いまのうちに」叩くのは分かるけど
日本のこと考えたら、すんげーリスク高くないか?

>核載せる能力は無いだろ
まあ核撃った瞬間に北朝鮮全土が核の炎に包まれるわけだが

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