1: 蚯蚓φ ★ 2021/01/23(土) 23:20:29.87 ID:CAP_USER
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▲『テラ・インコグニタ』/カン・インウク著/380ページ・1万8000ウォン

6年前、中国内モンゴル(内蒙古)自治区赤峰市敖漢旗博物館で紅山文化出土遺物を観覧したことがある。紅山文化というのは紀元前4500年頃、中国遼河(リャオホ)一帯に発生した新石器文化だ。いわゆる歴史空間としての「中原」とは遠く離れた地域だ。紅山文化からは櫛目文土器が多数出土したが、この博物館は中原文明に近い要素とされる彩文土器だけ集中的に展示していた。

しかも博物館前には「中原文明の源流として紅山文化に光を当てるため、中国社会科学院主導で『内モンゴル 紅山文化博物館』を作った」という案内文が立っていた。中央政府次元で紅山文化広報に熱を上げる姿だった。

この本は北方考古学者である著者が既存の歴史舞台の『辺境』地域を考古学の観点から解いた大衆学術書だ。歴史的辺境はいわゆる文明人の立場からは恐れと嫌悪をよぶ「テラ・インコグニタ」(『未知の土地』という意味のラテン語)であった。

著者は韓国史にも辺境が存在すると話す。既存の三国時代研究から疎外された伽耶地域や朝鮮開国のゆりかごとして満洲族と永らく交流してきた咸鏡道(ハムギョンド)のような場所が代表的だ。

中国で辺境で扱いされてきた紅山文化は日本帝国主義侵略とかみ合わさって多様に再解釈された。紅山文化の初期研究は中国東北地域を占領した日本軍と共に入ってきた日本学者が主導した。彼らは遺物略奪に没頭したあげく紅山文化の実体をまともに究明できなかった。日帝崩壊を経て文化大革命の狂風が過ぎ去った後に中国学者は紅山文化を体系的に研究することになる。

スビンチ(蘇秉琦)北京大教授(1909—1997)は中国各地域の文化が互いに影響しあって発展した、という理論をたてた。しかし、1980年代以後、中国が急成長して紅山文化研究は漢族中心の中国文明を強調する「多元一体論」の影響から自由ではなくなった。

これに対して著者は「皮肉にも日本の帝国主義に対抗するために触発された紅山文化に対する中国人の関心が今は反対に中国の膨張主義的歴史観を開く端緒になった様だ」と評価した。

キム・サンウン記者

(記者注:紅山文化は黄河文明より古い紀元前4700年頃-紀元前2900年頃に内モンゴル近辺に存在した文化。最古の龍の図が出土し、南進して黄河文明の一部になったと考えられている。韓国では地理的、年代的に檀君朝鮮に近いことから古朝鮮と結び付けられることがある)

東亜日報(韓国語)
https://www.donga.com/news/Culture/article/all/20210123/105053730/1

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